詩:路上で歌う
路上で歌う
尼崎駅前の大きな楠の木の下で演唱する
生まれて初めての“野外ライブ”への参加
80歳の高齢者のすることか、もう一人の自分が笑う
音痴で、運動神経ゼロで、悪筆で、アピール資質がないのに
でも、すべてを越えて、挑戦してみたかったのだから仕方ない
メタセコイアの並木が境界になって、駅前広場は明るい
ときおり気持ちのいい風が吹いてきて、ふっと心を緩めさせる
外国人の一団や、老人たちが、思い思いに、そこでくつろいでいる
ちょうど秋祭りの当日なのか、囃子と若者たちの地車がやってくる
自由で平和な日曜日の昼下がり、行き交う人が時おりこっちに目をやる
ぼくの手紙に返事をおくれ、そうずっとわたしは待っている
強い言葉で生きていく、これは「しなやかさ」への希求でもある
悪い方向に向いている世の中に、声を挙げ続け、警鐘を伝えたい
無力を託つ一市民の自分でも、存在を表わし、意欲を持ち続けたい
この日はじめて、呼び掛け人のY氏の生き様と思いを聞いたのだった
意外に声が通り、気持ちが高まり、もう立派な歌い手だ
とてもよかった! サクラに来てもらった双子の姉妹が笑う
歌っていると、通りがかりのおじさんが写真を撮ってくれていた
自主的に、声を挙げ、人に伝える――ずっとやりたいことの実行!
地車を引き気勢を挙げる若者の気持ちになって、初島神社へ参拝する