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自己顕示欲


通勤車中、隣りの人の読んでいる新聞の広告、今風の若い男の顔写真と、「言葉、思考、価値の哲学」という言葉が目に飛び込んできて、そのアンバランスが目から離れなくなった。えっ! なに新聞? まさか聞くわけにもいかないし、すぐにその人は下車してしまった。普通ならそこまでで、多事にかまけて忘れてしまうのだが、どうにも知りたい気持ちが続く。で、コンビニで、勘で日経新聞を購入。その広告を見つける。『心配すんな。全部うまくいく。』(カリスマYouTuberヒカル著、徳間書店)「いま、ここからが新時代」というコピーも憎い。――で、すぐに本屋で買う。店員が「よく売れてます!」と言う。そして、今朝、読んでしまう。

YouTubuのことについては全く分からない。でも、YouTuberの活躍は知っているし、ネット社会のこれからは、そういう方面の知識とスキルが必須であることも分かっているので、ちょうどよいときに、良い本に巡り合えたと思った。いきなり「本書を手に取ったあなたはとてもセンスいい。心からそう思います。」とあって、うまいなあ、と感心させられてしまう。チラッと見た広告を見逃さず、自分のものにした自分の行動も肯定されて、やる気が喚起される。

しかし、一番感心したのは、この本の装丁だ。表紙の韓流スターのような若い男の顔写真もそうだが、なんと全頁の端に「ヒカル」の顔写真が入っていて、本を開けば、いやでも「ヒカル」が迫ってくる仕様なのだ。さすがYouTuberの作った本だけある。視覚に訴えること!なぜか最後に「ヒカル」の写真集まである。

――この自己顕示欲が伝えたかったことのすべてであるようにも思える。いつも自分の「本音」を忘れず、「心」を豊かにし、「言葉」を養うことこそが成功の秘訣であり、「お金?気にすんな」「人を動かすのは、モノでもカネでもない。言葉だ」というようなテーマは、自分を前に出すということの一事に尽きそうだ。しかも、ちっとも嫌みじゃない。素直に、自分を前に出していて、むしろ好感度が上がる。「哲学」を随分身近にしてくれたとも。

驚いたのは、今年の4月に起きた「山口県阿武町の4630万円誤送事件」の犯人に、「ヒカル」が弁済金を出したということ。そして、その理由が「目立つから。話題を集めるか。」だけだとも述べていることだ。このマスコミがどうにも扱いきれなかった「自己顕示欲」こそが、これからの世界に必要なことだとまで考えてしまった。(10/08)

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モスクワに到着しました。
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仙台高麗屋にて-3