枠のない世界
会社から解放されて二日目、三鷹へと向かいました。いつもであれば会社の仕事を急いで切り上げ、時計を見ながら慌てて飛び出していました。ひたすら、無事につきますようにと祈りながらライブ配信をお聴きし、途中参加の繰り返しでした。時計という慌ただしい時間の枠から解放されたのだと、三鷹の道を歩きながら同じ風景が違う風景に見えたことで気づきました。今まで風のホールでは遅れて二階で参加させていただいていましたが、今回は偶然の運びで前から三列目に座らせていただくのも初めてでした。然も、「今日、三鷹のコンサートに行きます!!」と突然のお知らせがあり、友人がお嬢さんと共にお見えになったのです。嬉しいコンサートの始まりでした。第一部「まだ無い一音」メッセージをお聴きしただけで涙がこみ上げます。「未来をはじめる力を、一音に託します。」先生の背中を見つめながら、第一音を待ちました。高麗さんが表現された「静かな湖面の上を歩いているような感覚」とありますように、美しい水面の世界が果てしなく広がるのです。何もかもがひとつに吸収され、無限に広がる世界。これは何なのか。静かに広がる豊かな空間は、静かな微笑みそのものでした。第二部「今までの音から未来をはじめる」先生の背中を、こんなに近くから眺めたことがあっただろうかと、ふと思った瞬間に、やはり涙しかありませんでした。今までも、最初からずっと私たちに伝え続けてくださっている先生の背中です。突然、未来への足場を作っているのだとわかりました。まだ見ぬものに向かって準備している。それは既にはじまっていました。「今までの音から未来をはじめる」メッセージのままでした。今までとはまるで違うちからが湧き起こり、何かがつながりました。わかった気で言葉にすると違うものに変わってしまうことだけはわかりました。アンコールでの手拍子の時、何度も先生はピアノを弾くのを止めました。でも手拍子は止まりませんでした。私も何か違うと感じながらも、手拍子を止めなかった一人です。ふと隣りの友人を見ると、お嬢さんが父親の手と重ね合わせながら、まったく違うリズムを刻んでいました。小気味よいビートに、枠のない世界を見ました。ピアノを習っているとお聞きしましたが、新しい未来を創る子供のリズムに自分が恥ずかしくなりました。私は、最後に先生が仰った「かったるい」そのまんまでした。たくさんの枠が自分の中にあると気づいた昨夜です。三列目に座らせていただきまして、ありがとうございます。
