KEIKO KOMA Webサロン

手術の日


10月1日、自分で決めた2回目の足の手術でありながら、朝「天生」コーヒーを淹れていたら涙が溢れて仕方がありませんでした。誰だって自分の体を傷つけたくない。悲しいのか口惜しいのか分かりませんが、泣けてくるのです。「神様の盃」と呼んでいる先生の器にコーヒーを注いだ時、気持ちが変わりました。先に向かって歩いていこうと、前を向いていました。そして、林先生や特別看護チームの方たちに、美味しく飲んでいただきたいと思いながら「天生」コーヒーをタンブラーに淹れて出かけました。予約時間から1時間待って診察室に入ると、「長い時間お待たせして、申し訳ありませんでした。」と林先生が頭を下げて、2人のいつもの看護士さんと共に迎えてくれました。1か月半ぶりに3人のお顔を拝見しただけで、安堵と共に嬉しくなります。手短に説明された後、手術の準備に行こうとする先生に慌てて「これ」とコーヒー豆を差し出すと、すぐさま「天生」と口に出されました。「淹れる人と飲む人の状態で、味が変わります。」「怖いな。」「はい、怖いコーヒーです。」と笑顔で交わし、皆さんで飲んでいただくタンブラーと共にお渡ししました。心がとてもあたたかくなります。一回目の手術の時は、不安と恐怖で緊張して顔が強張っていましたが、2回目は違いました。前回同様にスピーカーを準備して頂き、「天生」コンサートから始まるのです。高麗さんの「天生」という言葉が響く手術室の中、先生の第1音の倍音が深く鳴ると同時に林先生が「すごい」と一言仰り、造影検査が始まりました。作戦会議が終り、「いいリンパ管が見つかりましたか。」と問うと、笑顔で頷かれる林先生はとても美しいです。いつものようにモニターで映し出される、自分の左足を見つめながら「なぜリンパ浮腫を専門として選んだのか」「リンパ浮腫の患者の今後の課題」そして「世界の医療の状況」を林先生に問いかけました。看護士さんも含め、そのことを話し合いながら今後の自分の方向性を考えていました。まさか自分の足の手術真っ只中で、こんなことが起こるとは考えてもいませんでした。すごい人たちです。先生のピアノの中で、静かに深い時間が流れていきます。手術中に「コーヒーを頂いたら、お先に失礼する。」と仰っていた看護士さんが、入ってくるなり私の手を握りました。「あのコーヒーに救われた。癒された。ありがとう。」涙目で私を見つめ、「よかった。」と私も涙目になります。握り合う手は、とてもあたたかいです。仙台、三鷹コンサートに包まれながら4時間弱の手術が終りました。この時間を何といえばいいのでしょうか。この経験を必ず活かしていきます。感謝申し上げます。ありがとうございます。

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迎賓館にて
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ありがとうございます
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工房より2