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実父のケロイド


毎年夏になると、実父の顔には醜いケロイドが現れた。78年前の明日、広島で被爆した後遺症そのものである。家族は、それを見ないように暮らしていたが、わたしには、実父の存在に正対しないですむ口実であり、しかも、原爆のことを考えねばならない事実であった。核兵器の使用だけは、絶対避けねばならないと思い続けている。

原爆のことを間違って伝えることになるかもしれないという危惧からか、小学校の教材から「はだしのゲン」が消えるとか。核の「平和利用」、あるいは「抑止力」、さらには原子力発電所の持続を思う政府の意図が見え隠れするが、「平和利用」ならOKとばかり、夢中になって盆踊りをした市民の「洗脳」されぶりにもあきれる。なんでも「すぐに忘れてしまう」国民性もあろうが、「私とは記憶そのものだ。(他者と共有した時間をすべて取り除いたら、私自身が消滅する)」という言辞を読んだ(小坂井敏明『神の亡霊』)ところだ。実父の顔に顕われるケロイドのことは忘れまい。ヒロシマの悲劇は忘れまい。(8/5)

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