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制約をぶち破る


応用コースでの先生の言葉が、希望の光となっています。制約が物になっている。リミットがある限り、制約の中でしかつくれない。そのリミットを四日のコンサートで外すと仰いました。視界がどんと明るく広がりました。母の介護を通じて、解せないことがいつもあって燻って残るものがあったからです。ですが、現実は物理の世界であり、物質と精神の二つに分けられていること。宇宙は量子や粒子がたくさんあり、私たちの体の中にもたくさんあること。時間に制約されない世界だと教えて下さりました。母を通して燻っていたものが何なのか、よく分かりました。母との何気ない会話は、笑いと共にいつも考えさせられることが多いです。栄養ドリンクのコーヒー味が美味しいので、私にも飲んでごらんと教えてくれました。母は飲む前に、コーヒーは夜だから眠れなくなると心配したそうです。ところが「自分が吹き飛ばされるくらい、大いびきかいてた」と施設の男性に言われ、「何であんた、知ってるのよ」「眠れないって言ってたから心配で様子を見に行ったら、とんでもない」と大笑いされたそうです。いびき姿が目に浮かんで私も大笑いです。母がその栄養ドリンクを飲み始めたら足の振らつきがなくなり、足底が地面にピタッと着くので、これはいいと思ってお代わりしたそうです。出されるまま飲んだら今度は大下痢になってしまい、大騒ぎされたと言います。実は一日一本と書いてあったらしく、母からすれば出されたからそりゃ飲むに決まってると言います。確かに母の言う通りです。今回は下痢で済んだものの、管理側がしっかり内容を把握した上で高齢者に提供しないと、とんでもない事態になるかもしれません。幸い母は教えてくれますし、今回は連絡帳にも「すみません」とその内容が珍しく記載されていました。中には何も言えない方もいらっしゃるだろうなと案じます。それは、トイレの問題にもつながります。オシッコをしたくてブザーを鳴らしても直ぐには来てくれない。その内に出なくなってしまう。或いは、オムツしてるからそのまましていいと言われる。この繰り返しだと言うのです。最初に私が施設と約束した紙パンツで過ごし、トイレに行く練習は為されていないと分かりました。母曰わく、トイレに行っても新米の人は気が利かないから、オシッコが出るまでドアの外に立って待ってるそうです。待たれると精神的に出なくなると言います。気が利く人は、終わったらブザー押して下さいと言って出て行くそうです。気が急いたら、そりゃそうだよなと気持ちが重くなりました。人手が足りないから、オムツのままで過ごすしかない施設。下のことは食べるより大事と言う母の顔を、黙って見つめるしかないのかと悔しくなります。ご飯だと呼ばれて行くと、既に湯飲みが5個も6個も並べてあると言います。湯気すら立たないお茶を出される悲しさ。せめてお茶くらい熱いものを出せないのかねと言うので、思わず大笑いしてしまいました。前回、温めた直後のお味噌汁を出したら「煮立っている」と言って、おかずをポイポイとお椀に投げ入れて「冷ましている」と言った母の顔を思い出したからです。母は不思議です。怒って文句を言ってるわけでもなく、飄々と話します。そのくせ、はっきりときっぱりしてるのです。そして、よく人を見ています。こんな人だったかなと、最近よく考えます。翌朝、お迎えの女性が人攫いみたいに母を車椅子に乗せて掻っ攫っていきました。ベッドから車椅子に乗せる間、こちらが聞いても耳が聞こえないのです。「人の話、聞いちゃいない」つい口に出したら、「すみません」と、いつもの若い担当女性が言葉を拾いました。それに対して、指示だけ飛ばすこの女性は何なのだろうかと見ていたら、慌ただしい騒ぎ屋さんだと分かりました。母を物を運ぶように、車に乗せていきます。その日の朝は、母が私に「いいから起こせ。茶碗洗ったり、片付けするから」と言って私の言うことを聞きませんでした。「自分がやれると思った時でないと、できないんだから」初めて見た母の強い意志でした。その母が、黙って物のように運ばれていきました。「また来週ね」「ありがとう」母の毎日に思いを馳せます。四日に行われるコンサート、いえ既に応用コースから始まっているのです。制約をぶち破らないと自分になれないとの先生の言葉を噛みしめています。

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