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「心の船」


国語力とは、社会という荒波に向かって漕ぎ出すのに必要な「心の船」だ。――と、石井光太氏のルポ『誰が国語力を殺すのか』にあった。なんで不登校なったのか、自分でもわからない子どもたちや、殺意もないのに43回もナイフで刺して殺害した少年たちの例を引き、「わが身に起きた問題を言葉によって把握することができないでいる」人たちを直視ている。そして、99%の識字率を誇っていても、また、「言語文化」という教科を設定して、論説文を読む力を養おうとしても、そういうこと以前に問題が山積されているという。どうすればいいのか。

わたしはいま高校で、二年三年生に「国語演習」という、何をやっても構わないような授業をしている。だから、現代文から、古文漢文から、国語常識、文章指導等、いろんなことをやっている。「受験力アップ」を言いながらも、言葉について、いろいろな角度から見直し、その面白さや深さについて理解させ、語彙力をつけるのが狙いだ。しかし、一番の狙いは、生徒たちとのおしゃべりである。雑談である。何でも話してもいい雰囲気にして、一人でも多くの生徒に表現させるのだ。それでもだめなら、古文の朗読や和歌の暗唱をさせ、「声」を出させる。次第に生徒たちの表情が変わり、実に明るくて輝きだすのが楽しみだ。――これがわたしの「心の船」の作り方だ。

今日は関東大震災の記念日。わが家が関西に移住するきっかけになったとか聞き、父が生きていた時は、「すいとん」を夕食にし、災害を忘れないようにしていた。それより、わたしには、デマで、朝鮮人を殺害した事実の方が気になっている。言葉は恐ろしい。

 

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モスクワの雪です。