KEIKO KOMA Webサロン

詩:言葉をもっと!


言葉をもっと!
          
やはり気になっていたのだろう、今月初めの旧友の訃報のことが
で、近くまで行ったついでに、かれの実家に訪ねて、事情を聞く
いやわたしたちも驚いているんです、急なことでと、長兄が言う
その前日兄弟に会いたいというので、病院に見舞いに行ったのに
なにしろあまり交流がなかったし、家族とも親しくはなかった由
結局肺がんだと思うが、とても元気だっただけに呆れさえすると

どういう病気で、どういう言葉で、どういう態度で、死んでしまったのか
どう苦しみ、どう話し、家族はどう声をかけ、どう支え、死に至ったのか
みんなに看取られながらいったのか、病院でさびしく死んでしまったのか
周囲の者はかれの死をどう受け止め、どんな言葉で語り合い、送ったのか
そして、かれの不在について、みんなどう思っているのか、何を語るのか
もう少し言葉にまみれての死であってほしかった、空しく物足りないのだ

ほとんど失語症に近い塾生が、そうもう何年も、ずっと通ってくるのだが
一緒に小説を読み、教養辞典などで、ことばの近くに居ようとするのだが
今朝は、発作があって、息苦しく、言葉がでず、冷汗のひと時だったとか
見様見まねの整体操法をしてやり、やっとかれの息が深まるのを確認する
やはり言葉が足りないということは、かなり深刻なことではないかと思う
かれは安心するのだ、わたしの言葉の雨に濡れ、わけのわからぬ親切心に

死について、多く語られず、親族さえ語り得ず、その物足りなさよ
言葉を発しなくなると、生きている体は苦しむ、そのものすごさよ

KEIKO KOMA Webサロン
高麗恵子スカイロケットセンターにて
KEIKO KOMA Webサロン
三鷹市芸術文化センター 風のホールにて
KEIKO KOMA Webサロン
いだき京都事務所にて