感謝の導き

昨日病院に到着するや否や担当医から、母の意識レベルが低下したことによりMRI検査を行った結果を説明していただきました。脳を圧迫している溜まった血液を取り除く手術は来週の予定でしたが、待つ理由はないと判断し手術室が空き次第行うとの言葉を聞き、当初にこの日を決定されたことに頭を下げました。その後に母の病室へ入った瞬間、今まで経験したことのない悪臭に思わず顔を背けました。マスク越しに死の匂いを感じたからです。母と二人きりになった後、マスクを外してもう一度部屋の匂いを嗅いでみると、病院特有の匂いに変わっていました。あれは何だったのだろうかと、母の顔を見つめました。意識はなく、荒く呼吸をする母は先週とは別人でした。講座で先生が話して下さったお義父様のことを考えていました。母の血が溜まっている右こめかみに手を当て、左手を握っていました。私にできることはそれだけでした。手術室まで母を見送り、声を掛けましたが反応はありません。手術室が閉まるまで頭を下げていると、閉まる直前に助手の女性が意識のない母に向かって名前を呼び、「よろしくお願いいたします」と仰る声が聞こえ、嬉しかったです。手術は16時から始まり、17時45分に終わりました。CT検査の画像を見ながら担当医からお聞きしたこと、一つ一つ乗り越えていきます。病室で「疲れたぁ」との母の声が聞けて、感謝しかありません。

すべてを終え千葉から三鷹に向かう中、途中からコンサートのライブ配信をお聞きしました。第一部のまったく何もなく広がる世界に、あまりの無さに驚きつつ満たされていきます。はじまりだとわかりました。更に第二部のメッセージに驚きました。私と母が今経験したことと重なります。例え数分でもいいので先生の元へと向かう中、三鷹駅からタクシーの運転手さんに導かれ、驚く速さで会場に到着しました。「お役に立てて嬉しいです」笑顔の運転手さんに頭を下げ、ラスト10分会場に入ることが叶いました。右側の頭が水で清められ祓われていくのが、何より心地よく風が吹き抜けます。母の頭なのか私の頭なのか、幸せしかありません。先生の元に駆けつけることができて、本当によかったです。たったの10分でなく、この10分の経験があるからこそ、先に向かっていける力を与えていただきました。母と共に、お礼を申し上げます。ありがとうございます。