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「志望理由書」


週に2回、ある学園の高三生の「志望理由書」や「入試小論文」の指導に出講している。なぜ本学に来たいのか、を問う入試の書類の一つで、どれほどのウエイトがかけられているのか不明だが、必要書類で、推薦入学では必ず課せられる。たいていは、「私は将来看護士になりたいと考えています。」のような定型的な文章を書いて見せに来るのだが、わたしは、言葉の推敲より(語句の訂正や言葉遣いの修正は当然だが)志望の推進を心がけて、生徒と話し合うことを主にやっている。生徒が自分に自信を持ち、より具体的に自分の可能性に気づくように導いていく。「まず、自分の長所をいくつか箇条書きにしてみたら」とか、「なにがあったから、そういう思いを持ったのか、そのことをメモしてご覧」とか。できるだけ否定せず、できるだけ個人的に話を落とし込み、できるだけ心が弾むように話を進めていく。

今日は、自殺しようとまで精神的に落ち込みながらも、ホッケーで全国大会まで行ったと話し、「ソーシャルデザイン学科」に行こうと思うという男子がやってきた。何があったか知らないが、正直に自分を見つめ直し、スポーツを通して得た自信と意欲を活用して、健全に生きる場を創っていきたい、という趣旨は、もっともっと語れるはずだよ、と言ったら、かれは、とても明るい表情になって、「次回までに書いてきます!」と帰っていった。

ともあれ、「書く」ことを巡っての話し合いは、生徒の「志望」をより明確に、より具体的に、そしてより確実なものにしていくプロセスだと思う。生徒は、自分に肯定的に向き合い、言葉にすることを通して、新しい自分に気づき、新しい可能性に目覚めるようになる。そして、その現場にいるわたしもワクワクしてしまうのだ。(9/28)

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