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“魂ふり”


魂はあした夕べに魂ふれどわが胸痛し恋の繁きに (万葉集3767)

この歌の万葉仮名の表記「多麻之比」が唯一の一音仮名例。それより「魂ふれど」の方が気になる。「賜ふれど」と解釈することもあるらしいが、やはりこれは「魂ふり」の活用例だろう。すなわち、「魂ふり」は、「人の霊魂が遊離しないように、依り代を振り動かして活力をつけこと」(岩波古語辞典)。まさに昨夜のコンサートは、わたしには「魂ふり」だった。時間を間違って遅刻してしまうなどの、あやうく離れていきそうなわが魂を取り戻してもらった。体が揺れるような思いがしたし、なんども波のようなものが打ち寄せてきた。舞い上がるような興奮でなく、静かな高揚を感じていた。元気になったというより、自分が自分にもどった、という感覚。「さあ、お進みなさい!」と肩を押された気分。ありがとうございました。

 

 

 

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再考
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夕方の風景です。天空にいるようです。