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茶臼山


学校が中間考査で、午後時間ができたので、大阪市立美術館(天王寺)で開催されている「聖徳太子展」に行くも、その前に茶臼山(26m)に”初登頂”して一人気を晴らす。わたしは、大きな木とこんもりした森があれば、ちょっと寄ってみたくなる。美術館の隣りの「慶沢園」(住友旧亭)にまず寄り、池を巡り、丘を歩き、こういう「幸せ」もいいではないかと感じる。ちょうど橘玲の『無理ゲー社会』を読みかけていたので、自由に自分らしく生きようとするのに、メルトクラシーとダイバーシティーが進み、人々を息苦しく絶望に追いやってしまう現代社会のことが頭にあった。「自由」と「責任」とは、表裏一体で、分離できないと著者は言うが……。そういう社会構造の実態も分かるが。もう少し別な「解」はないものかとも思う。。

赤い欄干の橋を渡って、こんもりした丘が茶臼山だった。池に亀や鯉がいて、人々が餌を投げている。「首の短いのがスッポンや。」とおばさんが教えてくれる。大きな鷺がじっと水面を見つめて動かない。熱心に水彩画を描いている人もいる。こういう幸せもありかと思うし、あまり二者選択的に考えず、柔軟に、かつ余裕をもって、事実を眺め直すことも必要ではないかと思った。

茶臼山は、有名な古戦場で、大阪夏の陣の説明版がたくさんある。でも、一番心引いたのは、「登頂証明書」を発行しています、の一心寺の張り紙だった。早速、もらいに行くが、「100円です。」と言われた。大阪的な才覚か。

「聖徳太子展」は、あまりよくなかった。暗い展示場に、不鮮明な画像の「絵伝」が並び、硬い印象の仏像が乱立しているので、肝心の太子の優しさや大きさに触れえなかった気がする。せめて「登頂証明書」のようなユーモアが欲しかった。

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