自分の力

土曜日は、毎週右手首のリハビリに通っています。抜糸した後も傷口はガーゼに覆われていた為、自分の目で見ることはできませんでした。昨日はガーゼを取っていいと言われ、改めて自分の手首の傷跡を目にしました。5cmの傷跡は、引き攣れて硬くなっていました。この傷跡を見る度に、あの瞬間を思い出すのだろうかと心が暗くなります。私の心を察したのか、「毎日、保湿をしてマッサージをして下さい。」理学療法士の方の言葉を聞いた瞬間、レバノンの先生オリーブオイルがあると、光が灯りました。そうであるなら、前に向かっていけると希望が見えます。毎晩オイルマッサージをしながら、自分と向かい合っていきます。骨がつくまで、やってはいけないことを守りながら、日常生活の中で筋肉を鍛えることを始めています。体が教えてくれる痛みや強張りを感じながら、毎日を過ごしていきます。昨日までできなかったことが、今日は大丈夫と分かる瞬間は感謝しかありません。自分の力を信じます。

コンサート第一部「いのちのちから」つい先ほどまでの自分の状態に対して仰っているかのように、一言一言が染み入ります。「人間中心の不自由」は、今までできていた過去と比べているにすぎず、然もそれが当たり前だと思っていた傲慢さだと気づかされます。先生の仰る「自由」を経験したいと望み耳を澄ましました。決壊したかのような、ものすごい水の勢いで一面真っ白に覆われました。この光景を見たことがあると記憶を探ります。先生のコンサートのパンフレットでした。あの日も見た瞬間、何もかもが祓われる勢いに圧倒され息をのみました。その水流が今、更に勢いを増し空間を埋め尽くし、私を包み込みます。激しい勢いと同時に、とてもやさしい感覚に包まれました。水の精を見ました。突然、ガラッと音を立てるかのように体感が変わります。光の舞です。新しいいのちの力に包まれる、幸せという言葉では言い尽くせない第一部でした。

第二部「源」「時間は源ではありません」この言葉が、強く心に響きます。ピアノの音と共に、スーパー探知機が私の体内を駆け巡っているかのようでした。まるで異物を発見するかのように、ものすごい勢いで駆け巡ります。やがて、体内から宇宙へ、宇宙の生まれる三段階前へ、そして源の世界に辿り着きます。一体どの位の時間が経ったのでしょうか。皆さんの拍手の音で、我に返りました。メッセージが蘇ります。時間はないのだと経験しました。アンコールでは、幾層にも重なる世界が見えます。とても不思議な世界です。新しい時間なのだと分かった時、演奏が終わりました。思いっきり拍手ができない歯がゆさの中、頭を下げるしかありませんでした。前に向かっていく力を、更に頂きました。ありがとうございます。