初めての経験

昨夜のコンサート後に外に出ると、星が煌めき肌に当たる空気が爽やかに冷たく、その心地よさに喜び溢れます。正に今、経験した禊と清流の体感そのものです。今回の府中のコンサートは、行かれないと諦めていましたが、例え遅れてでも行くと強い気持ちが生まれるまま向かいました。その結果、危うい自分に気づくコンサートでした。

第1部「禊」深い深い眠りの世界のようです。人魚のように海の深底に沈み込んで行きます。沈み込んだ後、ゆっくりと海面の上の光に向かって泳ぎ出しました。不思議な最初のピアノの音の世界から始まりました。パイプオルガンでは、まるで違う、眩い光の世界でした。その中で枠組みが見えます。自分で拵えたもの、知らぬ間に作られたもの、あらゆる枠組みが光により取り払われていきます。何もかもが取り払われた時、一つの世界となりました。神の世界でしょうか。一つでありながら、左の胸に微かな痛みがあります。この痛みが何なのかと気になりつつ、第2部となります。

第2部「清流」胸の痛みが気になりつつも集中しようと身を任せていると、あたたかな心地よさに包まれます。あまりにも気持ちよくて、胸の痛みも消えていきます。幸せでした。ところが、先生のピアノの低音が鳴り響く、私の大好きなフレーズが聴こえた瞬間、ハッと目覚めたのです。違う流れの世界から、呼び戻されたかのようです。今いた世界は違うと、体が教えてくれました。それからは目が覚めたかのように夢中です。間に合いました。こんなことは、初めての経験です。思いっきり全身で、拍手ができました。あの世界は何だったのか、自分が危うい状態であったことは確かです。またしても救って頂いたコンサートです。ありがとうございます。