詩:声について
声について
欠伸が周りの人に伝染するように
言葉は伝播し声は気持ちをシェアする
語れば、相手をこちらの魂にかぶれさせる
声さえ聴けば、その人と分かる不思議
声の様子で、もうほとんどわかってしまう
わずか5分話しただけで、奴の気分は回復した
音読や詩の朗読は、自分が自分である確認
人に聴かせるよりは、自分に聴かせ、自分と出会う
独り善がりかも、いや、自分の存在を問う仕儀なのだ
言葉は、すぐに自分をごまかしてしまうが
音読は、すぐにそれに気づかされる
朗読は、もう次元越えて、自分を育む
いつかYさんが、「夏は少し傾いて」と歌っていた
はじめ日の傾きかと思っていたが、Yさんが傾いていたのだ
そして、Yさんの「傾き」を声の部分で分かってしまった
歌言葉で、簡単に自分をごまかすのはやめておかねば
歌は声とリズムを伴うから、生きる言葉を枯らすのかも
しかし、歌うことほど自分を欺けないものはなかろう