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言葉との出会い


「失うものが何もなくなった!」

向こうからくる高校生が、大きな声で友達に話しかけていた。相手は、どう答えていいのかわからないような顔をしている。とまた、そう言うのだった。明るく楽しそうに。――それだけのことだったが、実にいい感じがした。

        「自由っていうのは、失うものが何もないことさ」

「ミー、アンド、ボビーマギー」(アメリカのフォクソング)

きっとどこかで「失うものが何もない!」という決め台詞を知って、意表を突かれる思いがしたのだろう。そうか!何もなくなったって、構うものか。かえってサバサバして気持ちがいいくらいなものなんだ。そして、どうしても自分でも使ってみたかったのだろう。こうして、少年は言葉と共に成長していくのだ。

わたしは、SNSの言葉づかいではだめだと思っている。あれも文字伝達の一つとして評価(ひと月で3,4冊の本の文字量に匹敵し、「活字離れ」じゃないと)する向きもあるが、あれは話し言葉でも書き言葉でもないと思う。明治以来の「言文一致運動」の担い手たちも眉を顰めるだろう。言葉は、あの高校生のように、自分で見つけ、使ってみて、習得していくものだろう。20.8.28.

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比叡山にて
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かぼちゃとイベリコ豚、パッションフルーツを使ったムースです。