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無の時間


京都に行くと必ず訪れる東寺に、今日も行かせて頂きました。いつものお気に入りの石に腰掛け、目を閉じると心地よい爽やかな風が吹き抜けます。風に揺れる木々の葉の音に包まれる時、今私は一体どこにいるのか、いつの時代なのか分からなくなりました。サラサラと木々がたてる音と共に、時間の流れが一気に過ぎります。過去なのか、未来なのか、今ですら何もない時間を経験しました。

迎賓館での先生のピアノの第一音は、雨粒のようにポツンと一粒、私の心に舞い降りました。あっという間に雨粒は大粒の雨のように、勢いよく降り注ぎます。一粒一粒が、しっかりと身に降り注ぐ時間、どこの国なのでしょうか。スコールのようにすっぽりと包み込まれます。何もかも消し去る雨粒の音に、何もかもなくなる時間。過去なのか、未来なのか、どこに向かっているのか。東寺で経験した無の時間が、今ここにあります。一音一音が、力強く自分の身に降り注がれるスコールの中、ここから始めると分かりました。
目を開けると、ふくろうさんの瞳が真っ直ぐに私を見つめています。柔らかな丸い瞳で微笑んでいる姿に、なぜかホッとして嬉しくなり、休憩になりました。

先生の話をお伺いし、あの雨はエチオピアと合点がいきました。忘れる事のできないエチオピア、天命コンサート、現地の方々とひとつとなるあの瞬間が、瞬時に蘇ります。先生の話に笑いながらも、涙が溢れます。毎日頂いているエチオピアコーヒーの豆は、やはり神様からの贈り物だと、改めて感謝いたします。

その後の先生の演奏は、人類史を変えていらっしゃると分かり、ただそこに邪魔せずに、祈るように身を置くだけでした。迎賓館での先生のピアノが、大地を揺るがします。高句麗、五女山、東名王様、いだき、世界各国でのコンサートで行われたこと、ありとあらゆることがひとつとなり、突き進む今であると経験しました。

迎賓館を出て見上げた空は、稲妻のような光が輝きを放っていました。パーキングエリアでは、大空に翼を広げた鳥が舞っていました。八坂に着けば、言葉に言い表せない美しい夕雲と光に包まれた八坂の塔が神々しく存在を現しています。そのままが現る今です。

昨夜のロームシアターに向かう時、ホームに到着した地下鉄に慌てて飛び乗ったら逆方向でした。更に東山駅を出たら逆方向に歩いていました。帰りは気をつけたはずが、携帯電話を見ていたら乗換駅を見過ごし、終点まで行かざるを得ず苦笑するしかありませんでした。 そして今、新幹線からの乗換に急ぎ、間があったにも関わらず、同時刻発車の逆方向の電車にまたしても乗っていました。何もかもが逆方向であり、慌てるに加えて思い込みの結果と受け止めます。今日でやめます。
京都での経験し難い二日間をありがとうございます。

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