先駆けて

14年前に愛犬のために今のマンションに引っ越し、そのお祝いにと父が花の咲く金の成る木の鉢植えを贈ってくれました。ずぼらな私は、特別なこともせずベランダに置いたままですが、今では株が増えて四鉢となりました。最初の鉢をお母さん、次の鉢は娘さん、同時に二つ増えた鉢をお孫さんと呼んでいます。今は父も愛犬も旅立ってしまいましたが、毎年寒いこの時期になるとお母さんと娘さんには、たくさんの蕾がつきます。14年間の間にはいろいろな事がありましたが、今年もたくさんの薄ピンク色のかわいい蕾がついてくれました。朝、お水を上げながらよく見たら、たった一つだけ花が咲いていました。思わず、しゃがみ込んで「お母さん、ありがとう」と言って、その小さな花を見つめていました。たくさんの蕾の中で、しかも下の方で、たった一つ小さな花が開く姿に、先駆けていくことを教わります。今ここで書込みをしながら、溢れ出る涙に今年は特別なのだと分かります。これから、仙台に向かわせて頂きます。東北に向かう時、父と共に故郷に向かうようで、とても嬉しいです。コンサートをよろしくお願いいたします。