「はじまり」を、ありがとうございます。

杉並はなんとも懐かしい地です。一部のメッセージ、一瞬気を取られたことを振り払い、今まで聞いたことのない「アルケー」ということば、「想像を絶するはじまり」とお聴きし、姿勢糺しお聴きしました。演奏は今まで聴いたことがない不思議な音、いろんなことが浮かんでは消え、とけあい、時間も何もなく、身体もどこにいるのかわからない感じでした。あっという間のような、すごく長いような、、、ことばになりませんが心地よい空間に浮かんでいました。

二部の「はじまりのはじまり」のメッセージ、過ぎた事に囚われてはいられない、その通りですと頷き、、「さて皆さんと一緒に何を始めましょう」とのメッセージ、高麗さんの御声の響きに、最初から感極まり涙こみ上げました。凄まじい激しい音の連続に余計なものも奥にあるものも一掃してくださる先生の音、全身で聴くこと集中しました。ある時からのあまりに美しくやさしい繊細な音の連なりに涙し、感動を超え涙よりありません。幼いときにあった、何時しか奥にしまい込んだ天真爛漫なやわらかいいのちと心のままに生きられると感じます。終わり近くに、ふと父が現れました。父は我儘で自分勝手で馬鹿が付くほどしょーもない、でも一生懸命で涙もろくて、正直生きてるときは苦手でしたが、自分が似ているからでした。先生、高麗さんに出会い、大きく変化し、なくなる前は母や私にたいへん尽くしてくれました。折りにふれ父を感じることはありましたが、その父がピカピカに輝いて満面笑顔で現れたのです。驚きながらも「お父さん良かったね、ありがとう」と胸の内で語りかけ更に唯々涙でコンサートは終わりました。

あらたなはじまりのとき、深く感謝し、未知なこれからに向かいます。

先生、ありがとうございます。高麗さん、ありがとうございます。

天田敬子