詩:こころ結ぼれて
こころ結ぼれて
どうやら緊急事態宣言はまだまだ解除されず、
学校もいつから始まるか分からないらしい。
ビルの壁面に、白と赤のハナミズキが光っている
新緑のケヤキの並木の向こうに、緑の山の起伏が見える
空は明るく、街も美しく、野草さえ語り掛けてくるようだ
これからのことで、心配で不安で、十分に悲しいのに、
4月の休日の、穏やかさと美しさに、まるで似合わないので
自分の中に二つの心を併せ持って、静かに歩いていく
まるで全体主義国家のような、人々の意識の中で
自分一人の心配を口にし、助けを求めにくくなっていく
自分一人の危惧を叫び、共感を求めにくくなっている
金がなくなっても、なに生きていけるし、支援もあろう
少々みっともなくても、だれかにエールを送ることもできよう
奇跡のようなことが起こることを、もっと信じてもいいかもしれない
躑躅の花の饒舌、路傍の日日草の青い寡黙
国道を走り去る車の反射、分離帯の植え込みの赤い花
ひとの世はそれでも続き、二つの心で生きていくしかなかろう