「国語の勉強がしたい!」
現在、“ひきこもり”が何かと話題になり、その対応と対策が叫ばれているが、当塾にも、幼少期のDVで、すっかり引きこもりになり、人間恐怖症になってしまった26歳の双子の姉妹が、もう一年以上通ってきている。なぜかわたしとなら気軽にいろいろ話せるので、癒しにもなるし、知力を身に着ける機会にもなると、喜んでくれている。初めのうちは、全く学べなかった「算数」や、「英語」の勉強をやっていたのだが、ここにきて、二人揃って、「国語の勉強がしたい!」と言うようになった。就労支援の場でも、「会話」が弾まないし、カウンセリングに行っても、先生の単語が分からなすぎるそうである。コミュニケーション能力がないことが気になると。ただ、それじゃあと、語彙習得のドリルをやったり、文学鑑賞をしたりしても、あまり効果はなかろう。そのつど、話題に上がる言葉をとらえ、それをハンドルにいろいろ話したり、分からせたりするばかりであるが……。今日は、とにかく前向きに明るい気持ちでいることが大切と、「塞翁が馬」の故事をやったのだが、二人とも、たどたどしく漢文訓読をやり、中国の智恵に触れ、なにがどういう結果をもたらすかは予測できないから、くよくよ考えていても仕方ないのだと理解して喜んで帰っていった。いつかコンサートに連れて行ってやりたいものだ。