五月のはじまり
強い風のなかを歩き、三鷹市芸術文化センターに着いたときには、何重にもなにかに覆われているような体感でした。
高麗さんが読み上げてくださるコンサートメッセージも、先生のピアノの音も、はじめは遠くで鳴っているようでした。
そのまま演奏に身をゆだねていると、気づけば、からだの中に静寂が生まれていました。
会場をつつみこむ静けさは、遠くの椅子のきしむ音まで聴こえてきそうなほどで、はりのある心地よさがありました。
先生のピアノに共鳴し、からだの深いところからどんどんちからが湧いてきます。
普段じぶんだと思っているじぶんは、大きな世界に溶けてなくなり、在ることそのものの本質に戻るひとときでした。
その世界には、”わたしが”はなかったです。
でも”わたしは”はありました。
第二部がはじまると”わたしが”が出てきて、こころの中で笑ってしまいました。
そんな意識の状態をみとめると、愛の空間に溶けて、なくなっていきました。
「生命の内奥」という深いことばを学びました。
いままでひそんでいた、からだの奥深くの感覚をとりもどせば、どのような場でも、なにが起こっても、”わたしは”のままに生きていけると感じています。
はじまりの日のコンサートを一緒に経験した人の、別世界を見ているような目の奥の輝きが印象的でした。
五月のはじまりは、ほんとうに「素晴らしい夜」でした。
ありがとうございます。
