「もう一つの道」を通って
冷たい雨と風の「寒の戻り」の街を歩いていると、昨夜のコンサートの余韻が、体の中から、わたしを支えてくれているのが分かる。頭の方は、確信と困惑、責任感の重圧で、一喜一憂する状態のままなのであるが……。
隣りの席の人と、「何か初めて聴くような音響と大迫力ですね。」と、これを体験できた喜びを分かち合った。感激のひと時を過ごす。若いときから「もう一つの道」を探し、歩き続けてきた、その最終局面に立ち至ったような達成感と爽快感を味わったのだ。「カウンター・カルチャー・ムーブメント」に参画し、「アナーキズム」思想に共感し、「自主・自律・自由」標榜し続け、発想法や整体の知恵に係わり、「いだき」に出会って37年。「えっ!黙ってピアノを聴いているだけで、自分の運命が開け、ほんとうの自分を生きられるの⁈(有り得ないこと、怪しいカルトだよ。)」と戸惑いながら、頭の批判や不信を越えて、体の愉悦と安心に曳かれつつ、とうとうこの究極の境地に立ち至ったのだと実感したのだった。この道の間違いでなかっとことに酔い痴れていた。嬉しさと幸福感に浸った第一部だった。
第二部のパイプオルガンで癒され、落ち着きを取り戻す。そして、ピアノで理性を取り戻す。(昨日ほど、ピアノが分かりやすく語り掛けてくれたことはなかった。まるで、新しい言葉だった。)すると、急に頭が強くなって、「どうやって問題解決していくのか」と迫って来て、体が音を上げるのだった。この大変な危機状況の現実社会に、どう対応していくというのか、仕事や人間関係を、どう再構築していくのか。いや、「いだき」に居れば大丈夫、大いなる存在とともに歩んでいけばいいのであって、自分自身の内奥の光を見失わなければいいのだ。そういう「やりとり」に疲れてしまったことも否めない。もう外食も煩わしく、家に帰りたかった。
で、今日になり、やっと「書く」気力を持ち直した。こうして自分をいつも見つめ、表わし、すべてを受け入れ、なんとか前進していく、この道をまだまだ続けよう!ほんとうにありがとうございました。
(余計なことかも。昨日あれだけのコンサートをやられた先生のお体は大丈夫だったのかと気になっている。どうかお大事に!) 3/3