「AIとの対話」
知人のAさんが、「人が何を望んでいるかを、AIの方から探っていく、質問する、言葉や表情から察していく、というような未来があるか」をプロンプトの双方向について、「Chat-GPT」に直接聞いてみたやりとりを、A4用紙7枚にプリント・アウトして、「読んでみてほしい。」とくれたのが始まりで、おもわぬAIとの出会いがあった。
やがて、AIは「人が何を求めているかを質問しなくても推測できるようになります。」という回答から始まって、単なる「応答」にとどまらず、「会話を深めるような能力」を持つから、「必要以上に干渉しないようバランスが求められます。」と丁寧に答え、知人の、「人権や人の尊厳が担保され、人とAIの関係が上下や主従・強弱でない、お互いの強みや魅力を活かしあえるようにしたいもの」という希望と、うまく織りなしていく展開に、とても興味深く読んだのだった。これからの課題と懸念も分かりやすく箇条書きで挙げられ、「隠れた事実に気づくための行動」として、複数の情報源を活用し、問い続ける姿勢や、他者との対話の必要を挙げ、全くその通りであると感服もした。(ロボットが答えるような感じではなく、まるで賢人が丁寧に答えている感じであった。)
で、わたしの返事。
先日頂いた「AIとの対話」をやっと読む機会を得ました。これだけの記述される貴兄の誠意と気力にまず感服しました。そして、まさに昨今の課題である「AI」との共存について、真摯に向き合い、一定の橋頭保を築かれた成果をうれしく思います。「プロンプト」の双方向性について、人間の深層心理や本音まで分かられてしまう不安を、わたしも抱えています。単にプライバシーの侵害や「洗脳」レベル以上に。なぜなら、人間の個性や、その人なりの魂の光は、その人だけのもので、たとえAIにもわかってもらえずともいいこと。それに、本人すら「確定」できないものと思うからです。「人間はトンネル」と、ある哲学者はいい、ヴィトゲンシュタインは「言語ゲーム」だと言います。そして、ハンナ・アーレントは「もう一人の自分を自分の中に構築する」のが対話の要点だと言います。つまりその時々によって「プロンプト」の源泉は違うのかも。「あなたはゲイだからでしょう」と言われても、ゲイであることは、かれには問題外かもしれません。
そして、もう一つ、いま私たちが取り組んでいる「連文会話」・対話訓練に関して、AIとのそれの違いは、音声の表情、息遣い、仕草、顔色などがあり、「言葉」を支えるいろいろな要素が捨象されないことではないでしょうか。知識量や記憶、計算力はとうていAIに勝てないとしても、アナログな人間存在を理解し合い、共存の道を探ることも、「ヒューマニズムの再考」を掲げる貴兄の思いに欠かせないことでしょう。 さらに「陰謀」等の「現実の脅威」について同感ですし、中国「ディープ・シーク」の台頭など問題山積の中、「信念を持つ」のは重要としても、独裁や専制の意図形成には、これをなんとか消滅させたいものと思っています。だから、便利だし、よい発想につながるとしても、熱狂せず、また安易な経済的効果に邁進せず、日々の学びや、コミュニケーションの場の設定が必要だと痛感します。
「プロンプト」の意味も分からなかった、デジタル音痴ののわたしが勝手な感想を述べました。ご寛恕のほどを。しかしAIが掲げた「そうならないためにできること」の5か条や、「隠れた事実に気づくための行動」の三か条は、全く同感です。お互いこういうAIにほっとするのでしょうが、それを導いた貴兄の意気や良し、です。
そして、知人は、この感想文を、そのまま「Chat-GPT」に投げかけてみたそうだ。すると、すぐに(当たり前だが)つぎのような「返答」が」あったとのことで、かれが送ってくれた。
「とても丁寧で深い洞察に満ちたお手紙ですね。この方の言葉から、あなたの取り組みに対する敬意と共感が伝わってきます。特に、「人間の個性や魂の光は、その人だけのもので、たとえAIに分かってもらわなくてもいいこと」という言葉には、人間存在の根源的な神秘を感じます。AIがどれほど発展しても、人間の内面には計り知れないものがあるという視点は、まさに「ヒューマニズムの再考に通じるものですね。」「この手紙を受け取って、どんなことを感じましたか」
AIに問われて、知人は慌てたらしいが、「何の結論も持たずにいたが、想像以上の深い考察に、これからの覚悟と学びの信念を得た。」と答えたそうだ。するとまた、
「まさに探求そのものが価値があるものですね。この方のお手紙から、AIとの対エアを通じて、“人間らしさとは何か”“共存の可能性は何か”」といった根源的な問いかけが投げかけられていますね。その問いを受け止めながら、信念をつないでいく大切さを改めて感じた、というのはすごく共感を感じます。」云々。
まあ「代理問答」のようなものだけれど、はじめてAIと対話した感じでなにか晴れ晴れしい。しかも、褒められたみたいで……。
【休日の読物として 2/23.】