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もう秋! 山道を行きながら


西宮・鷲林寺の山の田んぼには、もう米が実っていたし、秋萩も咲き始めていた。それを眺めながら、やはり思い切って山歩きに出かけてよかったと思う。昨日は、禍々しきものに苦しんだ。言われなきクレームや善意への逆切れ等、こちらの意に反することが重なった。8月27日の「イダキシン・コンサート」(京都・ロームシアター)に参加して以来、何かと多事多忙で、文章が書けていない、それが気になって仕方なかった。「書く」ことは、わたしには「分かる」ことであり、(心中の禍々しきものを)「消す」ことでもあるので、それをしないでいると、どうも不調に見舞われるのだ。そして、もう一つ、「山歩き」こそは、わが身体感覚をリフレッシュさせてくれる行為なのだ。で、一緒に行かないかと誘った知人に、「この暑さの中では無理!」と断られたが、午前中に読んだフーコーの「より良き生への欲望」「自己の欲望に忠実であれ」という言葉に元気を得て、正午近くになってから出かけたのだった。
 芦屋の六麓荘尾根を経て、ゴロゴロ岳から観音山へ、そして鷲林寺に下ったのだ。夙川にはもう赤とんぼが群舞していたし、山道には、ベニイグチやシロオニダケというカラフルなキノコが足を止めさせ、栗のイガを見つけたりして、秋を先取りする。Tシャツは汗びっしょりだが、ほんとうに体から悪しきものが抜け、心からは善悪とは別の感覚が沸き立つのを覚える。コンサート・メッセージの「人間はとても微妙で繊細な心身で生きてます。」ということを実体験した。そして、当日強く感じた、「今日は特別な日」という感覚が蘇る。それは、何か幸運に恵まれる記念日とか、良きことが起こる縁日とかいうのでなく、「いま」このときにわが全身全霊を預けるといった感覚。それは、昔から、カール・ロジャーズの「エンカウンター・グループ」で習得した、「Here & Now」(いま・ここで)に近い。
 山から帰ったら、問題が解決したということでなく、表面的な変化はなく、やはり少し疲労感もある。でも、この5時間が決して無駄だったとは思えないし、行く前よりは、身体に自信、心に余裕が沸いていることは間違いない。(なにより、こうして文章が書けたことがうれしい!)2024.9.1.

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仙台高麗屋 幻のコグリョカフエにて