覆す
「ネグレクト」たった一言が、胸を抉りました。昨日、仕事中にかかってきた電話は、母がお世話になっている介護施設の副責任者からでした。前回足の痛み止め薬でせん妄が生じたので、薬を変えて今日から抗うつ剤を処方すると聞き心が曇ります。最近お泊りしていても、何処にいるのか分からない時があると言います。服用薬で、かえっておかしくなるのではないかと過りました。更に、一旦解決したと思った特別養護老人ホームに行くことを再度勧められ、私がネグレクトに該当する懸念があると言うのです。先方が言いたいことは昨年暮れと同様で分からなくはありませんが、心が泡立つまま「ネグレクト」を調べました。果たして自分はそうなのだろうかと首を捻りました。介護者のプロから言われる言葉の重みは、想像以上にしんどいです。誰が発言するかで、言葉の凶器の度合いも変わります。感情に流されることなく、ちゃんと自分が調べて分かることが大事と痛感しました。
帰宅すると、母が何かを言っている声が聞こえました。閉め切った部屋にエアコンがついていて、「喉がカラカラで死んじゃう」と言います。慌てて白湯を飲ませました。良かれと思って行うことも、状況次第ではとんでもないことになります。母がエアコンを好まないことは何度か伝えていましたが、昨夜は改めて代案を考えました。記録と連絡帳として作成した母の日記に記しながら、立ち替わる訪問ヘルパーさんとの意思疎通は容易ではないです。言い続けるしかありません。
今日から1週間お泊まりだと母に伝えると、「いつまで、こんなことが続くんだろう。牛や馬じゃあるまいし」と言います。母の言葉から、施設での対応が透けて見えます。「元の体には戻れない」との母の言葉を聞き、誰よりも自分の体は母が知っていると分かります。「でもね、それを 覆すのもあなたなんだよ」心の中で言いました。このまま終わらせたくありませんが、私ではなく母が決めることなのだと思い直す今です。