迎賓館コンサートにて
先日、ある女性と知り合いました。先生のことや高麗さんのことをお話もさせて頂きましたが、そこからその方の人生をお話下さり、壮絶で辛いご経験をされていらっしゃいます。その日から、ずっとその方のお姿が目に焼き付いたように浮かび、迎賓館コンサートの待ち時間では、同じ人間として生まれ、どうしてこうも理不尽を背負わされなければならないのか、人其々の人生を考えずにはいられませんでした。そして一音が始まると、胸の奥から「辛さ」が沸き上がってきました。筆舌できないものです。そして演奏から「助けて、助けて」とその方の心の叫びが聞こえてくるようで、涙が止められませんでした。お話をしている時は、それを受け取ることができませんでした。私が出会う傾向を考えますが、先日の方は今までで一番辛いことでした。しかし、壮絶な経験をされていらっしゃる方々は国内外にももっと沢山いらっしゃることを考えると、そしてもしそういう方々と出会ってしまったら、自分の身が持たないと感じてしまいます。この経験を受けた側も、その反対の側も、自分には同じに「辛さ」を感じます。先生がいらっしゃるにも関わらず「神様、どうか世界中の「このような」人間をお救い下さい」と心からの祈りが沸き上がります。
ありがとうございます。
田嶋利江子