この経験
先日、亡き父が突然夢に現れました。私が今まで見たことのない端正なキリリとした顔つきで、スーツをパリッと着こなし颯爽と現れたのです。黙って背広の内ポケットから一通の封筒を私に指し示し、無言で立ち去りました。咄嗟に「捨てる覚悟はあるのか」と父に問われたようで、目が覚めました。父は何を私に伝えようとしたのか、そのことがあって先生のコンサートで私は何を感じるのかと、ドキドキしていました。三鷹に向かう途中イヤホンから聞こえたメッセージ、「ナザレのイエス」は何かを想定していたわけではありませんが、心底驚きました。と同時に、このことを経験できるという畏れがありました。息をひそめるように待つ時間。先生の第一音から、光です。これがイエス様かと、自分がどんどん研ぎ澄まされていきます。怖いくらい研ぎ澄まされていく、この感覚は何と表せばいいのでしょうか。更に三鷹の会場の中でお聞きするピアノは、全身が汗ばむほどのエネルギーに包まれました。とんでもない世界に身を置き、経験していることだけは分かりました。何が何だか分からず、今までの何もかもがどうでもよいことなのだと、分かったつもりのものが光の中で消え失せていきました。コンサートが終ると、私は私なのだと言葉が生まれました。何かを意味づけたりすることのない言葉が、嬉しくて堪りません。楽に呼吸ができることが嬉しいです。ありがとうございます。