今夜も元気一杯!
いま、梶井基次郎の『檸檬』を高校2年生の教材にして、とても難儀している。98年前の三高生の病気と鬱屈と不安が、あまりにも現代の若者の心境とかけ離れているように思って、修辞の巧妙さもうまく説明できず……。「丸善」という教養や高級文化や権威の象徴を檸檬の爆弾で吹っ飛ばす痛快さ、というテーマを何とか理解させたい。しかし、個人の読みの自由は保証したい。で、「奇怪な幻想的な城」をスケッチに書かせたり、今感じている「不安」を書いてくれ、と言ったりして。ほんとうのところは、「死の直前」の生活を送っている、まじめに記憶主体の勉強をし、偏差値の少しでも高い大学に行こうと思って、将来の志望もあやふやな高校生たちに、気づきと新規な発想を促したいと、わたしは授業している。「たとえば、制服なんて、どうして着なければならないのか、と思ったことはないか」と言うと、なるほど多くの生徒が手を上げ、「それが重要だ。」と言いかけた途端、ひとりの男子が「パン一で学校に来てみたい!」と叫んだので、はぐらかされてしまった。しかし、檸檬を爆弾に見立てて、すっかりいい気分になるラストだけは、愉快そうな表情で読んでいたのでホッとしたが……。
「自明」を越えて、大いなる存在に出会う!そのために生きている。そのためにずっと精進し続けねば! 「これでよし!」と安心してしまわないで、もっともっと前進しなければ。世界に通じる「日本語」を育てていかねば!――今夜も、うれしい気合を得、意欲充実! 心から有難うございます。(2023.2.19.)