実存と時間、真実
いつのことだったか定かでは無いですが、「今」に過去も未来もあり、いだきしん先生によって過去の因子が解かれて、生まれた時からあった問題が解決されれば「今」は変わり、未来は「今」動くことで創造されることがとてもよくわかったことがありました。胎児期、幼児期の時に背負ってしまった運命が先生によって改善される奇跡の いだき講座の真髄を直観的に肉体の深奥から全身に感じ取った歴史的な経験でした。
「あの時」以来、巻物を広げていくような年表的時間の束縛からは脱せられました。きっとあの時から「時間がない」こと、「年齢と共に充実していくいのち」を自分自身の「からだ」でしっかりと感じはじめました。特に昨年から今に続いている先生直伝の戦い方を身につける修行のチャンスをいただいてきましたが、実に様々な角度から、色々なジャンルのことから教わりました。武蔵の五輪書の世界から、愛の戦略に基づく戦い。「一つに(いつに)」「全ての生命を助ける戦いがある」など日々の生活の中で着実に実践していくしか身につかない修行は続きます。
ヤスパースを読んでいてびっくりしたのは「愛しながら戦う」との表現があったことでした。今回の「ジェンダーをめぐって」で先生ご自身が「学生時代にヤスパースにきちんと出会っていたら・・」とおっしゃっていましたが、きっと先生が独自に探求されて行き着かれた「愛の戦略」に共感されるものがあったのではと推察いたします。しかし、質問もさせていただきましたが、前人未到の世界初、人類史初の真の人間になられた先生の愛の戦略や実存はヤスパースやハイデガー、グロスマンには遂に届かないものであったでしょうし、先生が行きつかれた「新世界」は先生からはじまった新しい人類史とわかるいのちです。そして私はたまたま「透明な媒質」を調べ始めて色々と見ているうちにふっと高校時代が蘇りました。
17歳の頃に読んで強烈な印象を持っていた五味川純平さんの「人間の条件」、「戦争と人間」が閃きました。「ジェンダーをめぐって」の夜、ネット配信映像でとうとう朝まで一部が2時間半もある長編映画「人間の条件」の2部まで5時間余りを見てしまいました。そして「今」からすっかり抜け落ちていた大事なことに気づきました。ぼんやりしているとあっという間に透明なオブラートのような媒質に包まれてしまう「時間」の恐さを感じました。さらに前から気になっていたマトリックスのPR映像を見ているうちに第1回作品を最後まで見入ってしまいました。
夜明けになり、九州へ戻るための朝一番の飛行機に乗り込むために急ぎつつも考えることが多かった朝です。「コンピューターが創り出した仮想現実」に取り込まれていく人間たちを救う救世主となっていく主人公の戦いには勿論、愛する女性が登場し、愛が救世主たらしめる要に描かれます。コンピューターを「時間」に置き換えると「透明な媒質」という意味がグッと身近なものに迫ってきました。「事実は小説(や映画)よりも奇なり」、いや「真実は小説や映画より神秘なり」と感じます。今回の「ジェンダーをめぐって」の経験はとても難解でした。