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途轍もない三鷹コンサートありがとうございました


三鷹市芸術文化センター風のホールのピアノ調律はいつもにまして難航していました。「ピアノが寝ててぜんぜん起きてこない」と先生はおっしゃり、リハーサルと長時間の調律を、お客様が入る開場の直前ぎりぎりまで何度も何度も繰り返されました。
開演メッセージ作成のとき、今日のテーマは「時間」と言われ、「時間」て何だ? と先生に問われました。すぐに辞書やネットで「時間」について、一般的な意味、哲学的な意味、物理学的な意味などを調べましたが「 だから それで何だっていうの?」と先生はおっしゃるのです。
せんせいはいったいどこのせかいからいらしてくださったんだろう・・・と、第一部のメッセージに呆然としました。「時間」というあまりにも普遍的で根源的で疑問すら持てない枠組み自体を問う先生の存在・・・ワシーリー・グロスマンという方が「透明な媒質」と表現した、抗いようもない「時間」という覆いと対峙できる先生の存在は、宇宙以前の存在、高麗さんのおっしゃる「宇宙の生まれる3段階前」の顕れに畏れを覚えました。世界中の人々、ことに日本人は、すっかり眠らされてしまったまま、ただ動きまわり生きていること、自分も含めてメッセージのままの状態です。先生は私達を目覚めさせようと戦ってくださっていると感じました。一音一音のひびきに見えない覆いが解けて時間のない源にひらかれていきます。肝臓がどんどんひらかれて自由を感じました。

「私の時間」「風光る」のコンサートを経験させていただき、一晩寝て朝目覚めると、つきものが落ちたように明るくなっていました。空間が変われば、人間は水をえた魚のように新しく生きられるのがわかります。戦時下の今世界が変わるコンサートをありがとうございます。堤 康晴
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