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”正気の言葉”


大震災、パンデミック、戦争……、この困難な時代、「言葉の学び」なんて何の役にも立たない。そんなことより、ともかく物質的なものが欲しい、お金が欲しい、性的満足が欲しい、――実は、わたし自身がついついそっちに傾きたくなってしまい、「いや、ここで踏ん張らねば!」と、「狂気」の方に行かないように思い返すことがままある。そして、「正気」の言葉遣いの大切さをあらためて思うのだ。

(わたし自身のことで、ちょっと恥ずかしいが)全く自分のだらしなさ、甘さ、依存癖ゆえに、窮地に落ち込んでしまっているが、周囲の人が、相談に乗ってくれ、親身になって支えてくれているので、なんとか「正気」を保てている。?りつけたり、強引に誘導したりするのでなく、「こういう状況ですが、どう思いますか。」と、常に揺れ動き気持ちを聞き糺し、自発的な意志が醸造されるように持っていく会話が、わたしを「正気」に導いてくれる。

まだ結果が出ない受験生が暗い顔をしてたずねてきたが、「いったい将来どう生きていきたいのか。」「どういう仕事を考えているのか。」まずは「志」を立てることが大事であって、また、いつも自分の気持ちを書き表わすことが重要だ、などと話していたら、かれが明るい表情を取り戻し、若者らしい笑顔を見せるようになったので、ホッとした。

自浄力というか、自己回復力というか、心理学用語に「レジリエンス」という言葉がある。この「因子」を育むのが、自尊感情、愛着、楽観、支持者だとか。だが、わたしは、「正気の言葉」こそが、その源と思う。(2022.3.14.)

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盛岡より