表現することの奇跡

転居してから数年、最寄りの駅は明石海峡の袂のJRの駅です。朝霧という名も優雅ですが、見ほれるような瀬戸内の海と、夕暮れ時の空が見せてくれる光景は毎日圧巻です。毎日違う自然に、用が在ってもなくてもここから電車に乗るのは、海の宝石のように煌めく光を楽しみにしているからです。昨日は本当に美しく刻々と変化する空の光に、この感動を言葉で表せることができるのか、と。本を読むのが子供のころから好きでした。世界中にどこでも行くことのできる言葉の世界に毎日触れていた。思春期を乗り越えたのも書物があったからです。

六甲山の裏側で生まれ育って縁のなかった海ですが、運転しながら先生のＣＤ、しん　の音にさざ波のような音を確かに聞きました。美しい日本語、表現することで自然も違ってくるようです。運転することはできなくなりましたが本を読むことは入院中から目が見えにくくともつづけてきました。もう一度本を読みなおします。京都コンサートホールから始まる新しい世界の予感。

今からまた朝霧の駅から出かけてきます。