脳について
人間の脳は、「オープン・エンド」。どんな状況においても、人間の脳は挑戦しようと する。/“自由意志”の支えが挑戦に必要。(茂木健一郎著『挑戦する脳』)
挑戦とは、文脈を越えていくこと! 何年か前、この本を読み大いに気を良くしていたのであるが、最近、脳は、保守的で怠惰な臓器という指摘を知って、戸惑っている。
脳は、少しでも楽をしたいと願っている。働くことの嫌いな臓器である。/脳は自由 を奪う。(中野信子著『脳の闇』)
どっちなんだ、と叫びたくなった。ただ、中野氏の論説には、大いに頷くところもあって、なぜ日本人が「偶有性忌避症候群」(茂木氏)に陥って、承認欲求と不安の中でもがいているかの事情がよくわかる。そして、言葉を「生命の根源的な希求の果てに生まれた結晶」とし、「言葉を使って理解し、共通の認識を持つ」ことの必要を説いていて、国語教師のわたしには参考になるのだが……。さらに、第三の視点も得た。
脳神経細胞が持つ本能は、「生きたい」「知りたい」「仲間になりたい」の三つ。 (林成之著『脳に悪い七つの習慣』)
だから、否定的な言辞を弄し、効率ばかり考え、我慢して真面目に働くことがどんなに脳に悪いかと説いて、気が小さく、生真面目な性分のわたしの指針にもなる。
茂木氏と中野氏の論述は、脳についての学説の違いではなく、その表現の違いであることは言うまでもない。中野氏も、「あとがき」で、「一見馬鹿馬鹿しいような、危険な何かへのチャレンジは、私たち人間として生きることの本質」と述べている。すぐに認知バイアスが働き、「ヒューリスティック処理」をしてしまい、挙句の果てに「思考停止」に陥るようなことだけは注意したい。だから、今日から、C・キャロライン著〖MOVE――この自然な動きが脳と体に効く〗という本を読むつもりだ。「歩き方」から頭を良くしたい!(9/18)