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高麗江からの出港!


「ちょっと!今日のはすごかったね。」
と、神戸のOさんが何度も何度も言う。この人、「私は頭が悪いからなにも分からない、語れないのよ。」とよく言うのであるが、何に、ちゃんとわかっているのだ。隣りの福島からいらっしゃった女性は、もう手をかざすようにして聴き入っておられた。一緒に行った仲間たちの表情も言葉も明るくなっていた。わたしは、何度も胸を叩かれたような体感とともに、体が改造されたような気分を味わった。まさに「なにがあっても、強く美しく生きる」ための準備だった。Tさんに言わせたら、「まさに好太王が現れたのだ」と言うことだが、高麗先生の朗読の声が、あんなに力強く、かつ優しく、胸に響いたのは、まさに初めてのような気もする。いつもと違って、最初、重病で緊急処置室に運ばれたような、もうぐったりして気息奄々の状態から始まった。さっきまで元気だったのに、琴のような楽器の響きを聴いていたら、そうなってしまって、椅子に体が沈んでいってしまうのだった。何度も座り直した。まるごと大改造されて復帰した感じだったのだ。最後の「恵子が帰ってくる頃には、金木犀の花が散ってしまっているだろうね。」の「父」という大好きな詩を聴いて初めて、正気に戻った。まさにOさんの言う通り、すごいことを体験してしまった。ありがとうございます。

多摩川にさらす手作りさらさらになんそこの子のここだかなしき (万葉集3373)

狛江辺りでも布を干していたのだろうか。まさに高麗の船着場から出発して、生駒を越え、神戸に、香櫨園の浜に帰ってきた。どんな嵐にも立ち向かえる体になって!

 

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