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音楽の聴き方


明日の授業のために、共通テストの評論文問題(模試)を解いてみる。久しぶりに真剣に読み、選択肢の間違いの個所に×を入れながら。その結果、50点で全解だった! 「国語」の先生だから当然でしょう、と思われるかもしれないが、意外に点数が取とれないものなのである。ふつうは、だれでも受験国語能力に欠けているし、あの独特な意地悪で紛らわい選択肢の文章に引っ掛かってしまいがちだ。だから、慣れと集中力が必要だ。もちろん、それが「国語力」と同じではないし、かえって不必要な能力かもしれない。ともあれ、自信をもって受験指導できることは重要なので、素直にうれしい。

もう一つ、うれしいことは、その評論文の内容だ。岡田暁生の『音楽の聴き方』の一部で、芸術体験における「相性」の問題について論じたもの。芸術の嗜好や、好き嫌いは、天性のもの、生得的なものと思われがちだが、意外と個人の「内なる図書館」(相性の良し悪しを規定する感性の受信機)によるものであり、物心ついて以来の周囲環境からの絶え間ない刷り込みによるのだという指摘は、とても心に染みた。(試験の評論文は、新しい知識や気づきをもたらしてくれる!)

つまり、自分の感覚や感性は、どんどん変わっていくし、新しくできるということ。あらためて人は新しく生きていけるということなのだ。いつまでもだめな自分に付き合うことも中れば、阿呆な頭を嘆いていなくてもいいのだ。

よくコンサートを勧めても、「あれはどうも合わない」とか、「わたしの好みじゃない」とか言って、敬遠し、乗ってこない人が多いが、ちょっと待った方がいい。自分はどんどん変えて行けるのだ。好みも癖も越えて、前進できるのだ。ともあれ『音楽の聴き方』を読んでみたらどうだろう。(2022.8.25.)

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