陽光の中で
昨日のコンサートのメッセージに触発されて、詩のようなものを書きました。
陽光の街で
また寒波は近づいて来ているらしいが、上本町は陽光が明るく暖かい
少し歩きながら話しませんか、と新学期早々悩み深そうな同僚を誘う
お昼前の街は、ひと通りもまばらで、ラブホテルの壁がやけにまぶしい
とある喫茶店に入ると、ウエイトレスのさりげないサービスが心を緩める
すべてをなくしても、みんな辞めてしまっても、それは新しいスタート
この3月一杯で雇止めになりそうなかれは、憤慨と姑息と自尊心に苦しむ
つぎの仕事場を探し、履歴書と格闘し、つくづく自己嫌悪と慨嘆の様子
家族があり、借金があるので、年金暮らしという訳にもいかないらしい
ああ、わたしもあまり変わらない境遇と状況にいるので、他人事じゃない
すべてをなくしても、みんな辞めてしまっても、それは新しいスタート
中島敦の『山月記』の李徴の気分、空谷に響く虎の泣き声でうめくかれ
それを悲しく聞く親友の袁傪、にはわたしはなりたくない、虎に食われてもいい
絶望するばかりの教育現状、学校、欺瞞に満ちた教員、それは言挙げすべし
しかしその線上で自分を語るべきじゃない、自分の本音や本望は別の旋律のはず
すべてをなくしても、みんな辞めてしまっても、それは新しいスタート
こうやって、陽光の街を歩き、春の足音を感じながら、話していけば
諦めたり嘆いたりするより、その優しい利他の気持ちとユーモアがあれば
おいしいものを食べ、休み寝て、起きて仲良く語り、人を愛し続ければ
豊かな表情と豊富な語彙と、磨かれた感性と、強い意志と体があれば
すべてをなくしても、みんな辞めてしまっても、それは新しいスタート