逡巡から決意へ
引越がこんなに大ごとだとは思わなかった。経費削減と経済再生のために、ここは一番変革のとき!と思い切ったまでは良かったが、蓄えのない孤老に障壁が高く、つくづく住みにくい世の中だと思った。しかも、やっと住処が決まっても、今度は引っ越しが大ごとだと思い知る。二軒分の引っ越しになるから費用もかさみ、本や道具が入りきれないかもと脅かされた。こんなことなら、移転することもなかったのでは、思い返し悩んでいた。この気持ちを分かち合う親友や家族がいないことも悲しかった。
だが二つのことが、気持ちの立て直しとなった。「体力」があるうちに、動けるうちに、変わってしまった方がいいのだという考えが一つ。もう一つは、電話した支援者の一人が、「絶対かわるべし!」と励ましてくれたこと。彼女には、引っ越しの援助を頼み、もう疲れて何もかも嫌になったことも告げたのだった。先行きの不安に身を引くよりも、前向きに友と語り合って前進して行こうと思えた。