趣味じゃないよ！

わたしにとって「山歩き」は趣味ではない。また、ギターで歌うのも趣味ではない。まして、「国語サロン」も趣味ごとではない。この場合、カントの言う「美の判断力」として「趣味」でもないし、「仕事・職業としてではなく、個人の楽しみして行うこと」という意味での「趣味」でもないということだ。「山歩き」は、「生きる」ことのすべてだし、ギターで歌うのは、個人的愉悦の故ではなはなく、必死な自己表現である。ましてや「国語サロン」や「国語塾」は、仕事であり、喜びであり、使命であるのだ。

ここのところがなかなか分かってもらえない。いい年をして、危ないことをして、迷惑までかけて、いい気なものだと言われるのが一番つらい。学校の勉強や予備校の特訓がまずは優先されるべきであって、そんな言葉エクササイズや表現実習は所詮お遊びではないかという人が憎い。人が本音で話し、素直に語り合い、独自な表現を求めて、研鑽する以外に大切なことがあろうかと思う。テストで点を採り、クイズ番組で博識を誇るなんて、偉いとも賢いとも思わない。自分の価値観を変容させることなく、独り善がりの域を出ないなんて、まるで成長がないではないか。それでいて、「もう一つの道」に生きることを趣味に過ぎないなんて言うのだから呆れる。（2022.5.6.）