“贈る言葉”
「言葉を贈る」というのも、考えてみれば変なことだ。もともと自分の専有物でもない言葉を、人に、ちょっと偉そうにプレゼントするなんて。神経質な人からすれば、そんなものもらっても、煩わしいだけで、鬱陶しいことかもしれない。やめておいた方がいいかもしれない。しかし、やはり出会った人に「言葉」を贈りたくなる。その言葉にちょっと自分なりの一言を添えたら、無断拝借にもなるまいし、独善過ぎる行為にはならないのではないか。たとえば、「きっと」:何か良いことが起きる予想や強い思いを!何とかなるさより上品な感じがします。/「風薫る」:蜜柑の花の匂いは分かりますか。嗅覚意外に感じる匂いもあるかも。/「さびしさ」:避けないで、噛みしめて、そして、つぎのステップに向かいましょう! というような。
このカードを10枚くらい用意しておいて、(二三日置きに更新するのだ。)自分の講座やサロンの参加者に無料で配布するのだ。人と人をつなぐ、人間関係を深める小さな核にしたいのだ。勿論いらない人にはあげないが、欲しい人には、カードの中からその人に会う言葉を選んであげる。ちょっとスリリング、一歩踏み込む瞬間だ。あるいは、道で出会い、お茶でも飲み歓談した人にも。汽車の中で隣り合わせになった人と雑談した後に、降りるときにさりげなく渡す。――空想が広がる。
言葉をうまく使う、人間関係を深めるものとして、つかっていく運動のようなものだ。