詩:走り梅雨
走り梅雨
この憂鬱は、昨日は晴れていたのに、今日降る雨のよう
沖縄の梅雨前線が北上して、曇りや雨の日が続くとのこと
だがまだ本格的な雨の季節でもなく、気が早い心配なのかも
あまり深刻でもなく、さりとて有頂天でもない、わが心持ち
走り梅雨の憂鬱の中でも、わたしの心は晴れるときがある
教室で、何人かの生徒が手を挙げて答えてくれるとき
街角で、美しい植え込みの花が語り掛けてくれるとき
新聞で、確かな筆致の文章と響く言葉にであったとき
勢いをぶり返すコロナ禍、一向に収まらない戦争
杜撰な事故、無責任な事件、そして、死を急ぐ人たち
デイケアの精神病院は人があふれ、心療内科の予約はとれない
当方は仕事の展望が見えず、住む家も決まらないままの日が続く
それでもわたしは、気持ちを腐らせていないし、希望を失っていない
よほど能天気なのか、懲りない性分なのか、走り梅雨の憂鬱くらい
だから絶交した奴のことも気にかかるし、遠く離れた人も恋しい
だから未知の人にも既知の人にも手紙を書いて、心を届けてみたい