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詩:言葉をもっと!


言葉をもっと!
          
やはり気になっていたのだろう、今月初めの旧友の訃報のことが
で、近くまで行ったついでに、かれの実家に訪ねて、事情を聞く
いやわたしたちも驚いているんです、急なことでと、長兄が言う
その前日兄弟に会いたいというので、病院に見舞いに行ったのに
なにしろあまり交流がなかったし、家族とも親しくはなかった由
結局肺がんだと思うが、とても元気だっただけに呆れさえすると

どういう病気で、どういう言葉で、どういう態度で、死んでしまったのか
どう苦しみ、どう話し、家族はどう声をかけ、どう支え、死に至ったのか
みんなに看取られながらいったのか、病院でさびしく死んでしまったのか
周囲の者はかれの死をどう受け止め、どんな言葉で語り合い、送ったのか
そして、かれの不在について、みんなどう思っているのか、何を語るのか
もう少し言葉にまみれての死であってほしかった、空しく物足りないのだ

ほとんど失語症に近い塾生が、そうもう何年も、ずっと通ってくるのだが
一緒に小説を読み、教養辞典などで、ことばの近くに居ようとするのだが
今朝は、発作があって、息苦しく、言葉がでず、冷汗のひと時だったとか
見様見まねの整体操法をしてやり、やっとかれの息が深まるのを確認する
やはり言葉が足りないということは、かなり深刻なことではないかと思う
かれは安心するのだ、わたしの言葉の雨に濡れ、わけのわからぬ親切心に

死について、多く語られず、親族さえ語り得ず、その物足りなさよ
言葉を発しなくなると、生きている体は苦しむ、そのものすごさよ

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