詩:西穂高独標2701m
2701ⅿ西穂高独標
「スゴイしんどかった!」
「岩歩き、怖くて、楽しい!」
「途中から頭が痛くなり、困った。」
「急に怖くなり、助けられ、初体験!」
「頂上付近の岩登り、無茶面白かった!」
「石ばかりの道、オオシラビソの匂い!」
「高いところ苦手なのに、スリルを味わった!」
「ガレ場の歩きにくさと白いガスの冷たさが、登山を好きにさせたかも。」
「みんなに助けられ、不甲斐なかったが、やり切った感は大きく、喜んでいる。」
帰途、平湯温泉の野天風呂、裸の高校生たちがまぶしい!
初めての登山の想像以上の高揚が、その顔に溢れ、肌に光沢をもたらしている
スリルとリスクの向こうに、かくも喜びと達成感があるとは思っていなかっただろう
コロナ禍で宿泊を伴う山行ができず、二年ぶりの夏山合宿、二年生まで初心者だ
その上、台風8号の接近で、とても無理だろうと、みんな思っていた、あきらめていた
しかし、現地に行かなければ分らないもの、稜線は雲に隠れているが、日も射している
森林の急登90分、歩きにくいガレ場60分、次第に尾根が狭くなり、ガスが立ち込める
見通しのきかない岩場で、急に歩みが止まり、恐怖のためか、先のコルに降りられない
へっぴり腰でへたり込む生徒たちを、県警のパトロールたちが心配そうに見上げている
思いもよらぬ難所越えに、みな声も出ないが、それでもやっとピークに、2701mの高み
ガスの向こうに岸壁が見えるが、先へはだれも進もうとせず、無理な笑顔の記念写真
高山病でふらふらになったり、足がつる仲間を気遣いながら、西穂山荘に全員無事帰着
様々な障害を乗り越え、大自然に触れ、岩稜の未体験ゾーンへ、冒険と挑戦を実践する
今や希少な高校山岳部に、結局は成長と気づきに至る登山の魅力を伝えたかった
30年ぶりの西穂はきついものがあったが、わたしは教育者としての使命を果たした!
*2021.7.26~28. 大阪の上宮高校の山岳部(13名)の付き添いとして登山。 |