詩:帰り湯
帰り湯
また月曜日、学校勤めの帰り、思い立って、西宮市内の温泉に立ち寄る
阪神電車の久寿川駅で下車、旧国道を渡り、久寿川沿いの街の中にある
1960年以来の営業とかで、何度も立て替えて、小ぎれいな店構えに
かけ流し温泉、露天風呂、旭日の湯――夕景迫る岩風呂は気持ちがいい
帰り道、結構古い町並みを歩く、大きな屋敷、樹木に夕闇が落ちてくる
静かで、それでいて人々が行き交う、50年以上昔の夕景がなつかしい
でも、どこか遠くの旅先にいる感じもして、人生の長い道のりにも思う
でも、体が整ったからか、今生きていることの喜びを感じる方が大きい
これから先の「たつき」のことを考えれば、なんとも頼りないこと
天涯孤独の老境を思えば、いまさらどうにもできないことばかりだ
――だから、そっちを見ようとしないで、「いま」をくつろぎばかり
温泉の湯の熱さが、「むすぼれ」をゆっくりと解いてくれるので