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詩:富有柿


富有柿

 

心根情直せばなおる

     色の黒いのは直されぬ

 

色が黒いたて見下げてけれな

     味は大和の吊るし柿   (秋田の古い掛唄ノートから) 「宮田熟穂資料」

 

贈られた大きな富有柿より、添えられた柿の葉の方に詩情を覚える

柿の葉寿司に使えそう! とお裾分けした女性の声がうれしかった

一方、柿はご遠慮します、お気持ちだけ頂きます、という人に失望

まずは送り手の優しさと余情を味わうべきだ、今後の友情のために

 

これは今年最後の収穫なのだと聞いて、自分の一年を振り返る心に

異常な暑さにオロオロ歩き、過労と風邪に悩まされ、それでも元気

金に困り、友に見限られ、遮二無二働き、それでも魂や心を失わず

年齢のことなど構っている暇がなく、いつまでも若気の至りのまま

 

大きな柿の実がわたしの心根の豊かさを写してくれているとの独善

あまり日持ちしなそうだが、それでいいのだ、すぐに落ち込むから

柿の葉を本の栞にしようと、まずは書架を片付け、部屋の掃除する

師走年の瀬を越える準備が整い、意欲と詩情が湧いてくる日曜の朝

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