詩:凶行
(なぜかここ数日、ひどく疲れてしまって、目もショボショボして、「書く」意欲も、「生 きる」力も弱まっていました。)
凶行
政治信条に基づくテロでもなく、祖国や郷土のための義憤等でもなく
むしろ個人的怨恨、偏った心情による凶行だったからやるせないのか
労働組合が力を失い、左翼や野党が人気を失い、批判批評がなくなった
そういう社会の大事件だけに、原因とだれかの責任を糾弾したくなるが
Yは偽善や身勝手や傲慢が許せなかったのだろう 自身も思い込みや独善の塊だったから
母親にも、宗教団体にも、元首相にも、社会にも、それらが充満して息苦しかったのかも
通り魔の凶行、逆恨みや拡大自殺で放火し大量殺害、発砲や刺傷等、うごめく兇悪な霊魂
そのどうしようもない怒りと憤懣が暴発してしまうのだろう、と理解のふりはするが……
どんなに優秀なルポライターでも表現しきれず、小説家も語り得ず、真相は分からないまま
政治の拙さ、宗教の独善、そして格差社会の倫理と文化の崩壊、言葉の劣化などが原因かも
だからと言って、もうつぎのYが凶行の準備をしているかもしれない、あなたのすぐそばで
もしかしたら、自分の中にも、そういう悪霊が忍び込んで、犯行の動機を待っているのかも
Yを極刑にし、生い立ちを追求し、宗教団体を非難し、政治を批判し、空しく騒ぎ
この凶行を是認するわけにはいかないが、糾弾するばかりでも何の解決にもならぬ
そもそも怨恨や憎悪や孤独を飼い太らせず、事実を冷静に追求し、行動するばかり
と冷静になろうとして、この事件で、わたしも傷つき疲れ果ててしまったのを知る
騒ぎ立てても、あるいはため息をついていても、どうしようもない
根拠のない自信、空元気でもいいから、自分の明るい部分を前面に
空や雲からの光、木々や花からのエネルギー、海や川からの安らぎ
あまり人を恨まず、世の中に絶望せず、本音を口にして生きて行く