詩:わが顔
わが顔
自動車免許の更新に伊丹まで行く
長蛇の列に並んで手続きと支払い
心配した目の検査はあっさり合格
最後に写真撮影で手続き完了だが
新しい免許書の写真を見て、すっかり嫌になる、意欲をなくしそうだ
これはおれの顔ではない、禿げあがって、醜くたるんで、眉毛もない
いくら81歳だといっても、もっともっと若々しい顔をしているはず
もう少し知的でかっこいいはず……、薄い唇がゆがみ意地悪そうだし
姿勢もいいし、溌溂としている、とても80歳とは思えませんよ
お声も若々しいし、はっきりものを言われるし、行動がはやいし
そう言ってくれたひとは、すごいウソつきか、お追従ものなのか
そう言ってくれたことを真に受けて、おまえはお調子ものなのか
子どものときからナルシストのくせに、自分の顔に自信が持てなかった
自分の理想の、目鼻がスッキリして賢そうな表情の、同性に憧れていた
四十過ぎたら自分の顔に責任をというが、その倍になって、まだ無責任
この顔で生きていくの嫌になる、でもこの顔で堂々と生きていこうとも