詩:こころもしのに
心もしのに
「近江の海夕波千鳥汝が鳴けば心しのに古思ほゆ」(柿本人麻呂)
〔大津の柳が埼に犬養孝揮毫の歌碑あり〕
「しのに」という副詞は、「しんみりと」という意味より「しきりに」か
高麗恵子作品展のあと、湖岸を歩きながら、そういう心持ちであった
「湖の畔、波の音、古の魂の香り、永遠を生きる魂、出会い……」
文字と言葉のたしかさに、自分の気持ちが立ち直る気がした 千々に乱れていたのに
生来の悪筆ゆえ、書に圧迫され、素直になれなかったはずが こだわりは解消された
「魂 出会い、真 出会う、偽りなく生き 人間の真あらわす……」
そこに表現された“確信”が、昨日のネガティブな思いを静かに溶かしていく
燠のようなわが自信と能力を再び燃え上がらせ、前へ進む足取りが軽くなる
「あふれる気持ち、語り表わし、人とつながり、新しい人間の つながり広がる」
素直に、明るく、思えばいいのであって、不安に駆られてなくたっていいんだ
広く、大きな明日に向かって、言葉とともに歩いて行きたい、それでいいのだ
「出会ったら 共に生きることは 決まっている もっと大きく広い世界へ……」
高麗恵子先生の「詩書」、しっかりした字体と配置、美しい色彩、それらの作品を
ゆっくりつぶやくようにして読んでいく――それがよかった。こういう展示会の機 会を作ってくれた方々の気持ちがうれしく、かつ誘ってくれた人々の心に感謝感激!
|