詩:「高められた話し言葉」実践版
92歳になる賢人を訪ね、78歳と65歳と36歳が、年齢を越えて面談した
パーキンソン病と“自称認知症”とを抱えた先達の見舞いと親交の継続を願って
また、今始めている「オンライン詩の朗読会」の構想を確かなものにしたくて
文学青年だったコピーライターは、引き籠ってしまった親友との係わりもあり
70年代の、その賢人たちの動きの「良い面」を継承せねばと思っていると語る
一番若いシンガーは、当時、京都の喫茶店で展開された活動の記録の本を読んで
ちょっとしたきっかけで歌い、詩を書き、自己表現を実践する活動の原点に至りたく
京都、下賀茂前萩町のマンションの一室で、とても濃密な時間を過ごしたのだった
わたしは“文学青年”じゃないし、酒飲みでないし、難しい詩は嫌いなんです
若い時のことはよく覚えているのに、今のことはすぐに忘れてしまう“認知症”だし
その人とは一緒に渡米していないよ。間違ったことでウソの歴史に加担したくないもの
権力に反対する人が権力によるのはおかしなこと、善悪の二分法で決めつけないべしで
分かるけど批判もあるよ、プロとアマとの峻別に意味があるのかしらん、多値的でしょう
言葉遊びではぐらかし、頭人間の硬さを退け、しかも実存思想の質の高さを追求する
ノンンバーバルな英知を実践することに一生懸命で、しかも旺盛な知識欲を手放さない
ちっとも「老い」も「衰え」も感じさせない、この賢人に一同感服するばかりだった
「だれかの足を踏んづけながら幸せになれない」と言って、「水俣シック」を演唱する青年
これからの行動を考えていかねば、というとき、「解決策の一つはね。」と賢人が言い出した
「シック」の発音が変です、「インチキ英語」ではなく、ちゃんと英語を習得すべし
Lovesick、homesickのsickなら、shicにならないよう、「病気」の表現じゃないよ
聞き手に、「Homesickではなく、わたしはminamatasickです」と前置きをしたら
歌の場の質の高さはこうして高められる、こういうことが継承すべきかも……
軽率でいい加減なわたしは、「おしゃべりシック」になり、疲れてしまったか
も……