言葉パワーに負けないで!
「このままほおっておくと、大変なことになりますよ。」医者がこう言っても信じないこと。血圧が上がり、薬漬けの生活になってしまう。
「言葉には、人間の脳や行動に働きかける大きなパワーがあります。」(今野清志『血圧は一分で下がる』自由国民社)
ほんとうに医者の言葉は怖い。ちょっと尿の量が多いというと、「膀胱肥大でしょう。」というし、必ず「お年ですから、気を付けてください。」と言われる。こちらは、「年齢」や「性別」や「経歴」を越えて、元気に生きていく道を探しているのに、そういう道案内はまるでない。医学的見地や医療を無視しようということでは、決してないのだが。
「緊急事態宣言を発出する」
こういう非日常な言葉を耳にすると、人は、もう自分で考える余地をなくしてしまうという。「言語行為論では、何かを言うことそのものが何らかの行為になる、という考え方がある。」と、金田一秀穂さんが言っている。 (21.1.31.毎日新聞)
「緊急事態になった。」なら、まだ人は真偽を論じる余地を持つが、「宣言を出した。」なら、もうその行為に内容を吟味しなくなると。そして、弁証法でなく、「落としどころ」を探して、だれからも文句の出ないところに行こうとする。
「宣言を発出する」というような、非日常な硬い言葉で、しなやかさを失いたくないものだ。どうやら「緊急事態宣言」は延期されそうであるが、当方は、もう死活問題である。せめて「しなやかな心」だけは失いたくないものだ。